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「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール 」 レビュー

 

「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」みなさん読みましたでしょうか?

おカネを投資で増やそう、貯めよう、と考える理由は一つではないと思います。

ただ、何のために?どんな人生を生きたいか?を描いていないと、無為におカネを増やすだけになりかねない。

おカネは手段であり、目的はあくまで「人生をいかに豊かに過ごすか」という視点を忘れていませんか?という根源的な問いかけに考えさせられます。

独断で選んだ印象的フレーズ3つをご紹介します。

 

目次

「金を稼ぐこと」と「大切な人との経験」をトレードオフの関係としてとらえ、自分の時間を最適化する。


当たり前ですが、1日は誰にとっても24時間、これだけは万人共通ですね。

その時間をどう使うか=どう生きるかということなので、忙しさにかまけて、立ち止まって考えることをしないと、思ったように時間を使えるようにはなりませんね。

働く時間(金を稼ぐこと)を増やしすぎると、「大切な人との経験」が減っていく。

至極当たり前のことですが、「そういうのものだ、仕方ない。」と思って過ごすのか、
今一度立ち止まって「大切な人との経験」を増やすことに意識的になる、実際にそうした時間を増やすことは多くの人にとって豊かさを感じられることだと思います。

おカネというのは不思議なもので、いくら増やしても、それ以上に増やしたくなるものだそうです。(そんな経験をしてみたいものですが。)

5千万円貯めたら次は1億円、1億円貯めたら2億円、2億円貯めたら5億円というように。

おカネはいくらあっても邪魔にはならないと思いますが、常に「何のためにおカネを増やしてきた(貯めてきた)んだっけ?」とならないようにしたいものです。

おカネ=手段であり、真の目的は人それぞれ。

「豊かに暮らしたい、じゃあ何が自分の豊かさなのか?何をすれば豊かなのか?」というのはつまるところ、時間おカネをどう使えば豊かさを感じられるのか?を考えるところから始まりますね。

 

②金の価値は加齢とともに低下する。

 

「お金」というものをある意味、普遍的なものと捉えていると気づけない視点ですね。

著者が高齢の母に1万ドル(日本円で約100万円ほど)をプレゼントしたが、全く使いきれなかった、という経験をしたそうです。

しかもセーターを一枚買っただけ。

これは想像してみると、なんとなくそうかもしれないな、と思えますが、年老いた自分をリアルに想像しながら、今を生きることはなかなかありません。(高齢になってお金がなかったら大変そうだ、という漠然とした不安はありますが。)

いま私は40代ですが、1万円の価値は20代の頃より下がっているのでしょうか?

正直体感として、そこまで大きな価値の差は感じませんが、1万円札を使うときの心理的な抵抗は当然20代の頃よりはありません。

それは単に収入が増え、使えるおカネが増えたことが原因だと思うのですが、それを「価値の低下」と言えば、そう言えなくもありません。

ただ本書で言われているのは、20代~定年を迎えるあたりまでが「おカネを使う黄金期」であるという視点ですね。

おカネを使う黄金期に、貯める、増やすことばかり考えてちゃいけないよ、使うことに意識的にならないといけないよ、という著者の切なるメッセージが込められています。

また本書で言われている価値というのは、おカネを使うことから引き出せる価値のことです

まっさらな若い人間のほうが、吸収できること、感じられること(新鮮さ)、今後に生かせる時間が沢山あること、などから考えると、高齢の人間よりも「おカネを使うことから引き出せる価値」が大きいことは想像に難くないでしょう。

「金の価値は年齢とともに低下する。」と言うと、若干悲しく聞こえます。

言い換えてみると「若ければ若いほど、金の価値は大きい」(まあ一緒なんですけどね。)ということを肝に銘じて、「いま価値のあるおカネの使い方は?」という視点は忘れずにいたいものですね。

 

③資産を切り崩すタイミングを見極めることだ。

いつ自分が死ぬかは分からないから、資産はあればあるほどいいし、なるべく減らさないようにしようと思ってしまうことは、ごく自然な考えだと思います。

総資産(自宅、現金、株券など)と負債(学資ローン、住宅ローン、車のローン)を年代別に見ると、人生の後半になるにつれて、純資産の中央値が上がっていく傾向だそうです。

(本書はアメリカの例なので、家は基本的に資産となります。
日本では、家は年月とともに資産価値は減っていくのが一般的なので同様には考えられません。)

先の章でも言われていたことですが、ただ資産を増やし続けることに異を唱えています。

そこで著者は「純資産を減らすポイントを明確にする」ことを提唱しています。

死んでしまう時期が分からないのに??という話ですが、死ぬまでに必要な最低限の金額をはじき出す式も書かれています。

個人的には、そうは言われてもなあ、というのが率直な感想ではあります。

使うべき時に使う意識と「やりたいことリスト(いつやるかも含めて)」に沿っていけば、ある程度悔いのない人生がおくれるんじゃないかなあ、とも思います。

また現在の日本だと、年金を当てにするのはリスクが高いので、それを差し引いても十分と思える資産を築くのは簡単ではありません。

しかし、そこで諦めてはおしまいですからね、投資や副業などで、資産を増やしていく自助努力はいま万人に必要な視点だと思います。

 

終わりに

老後2,000万円問題が大きく取り沙汰される日本において、「資産を使い切ろう。」という視点はなかなか受け入れがたいのかもしれません。

ただ、何のために稼ぐのか、何のために蓄財するのか、の答えが「老後が不安だから。」と言ってただ貯めこむだけでは、確かに有意義な人生と言えませんね。

おカネの使い方、使うタイミングを熟慮することも必要だな、と思わせてくれる一冊としておススメです。