制度

高額療養費制度 

 

民間の医療保険は最低限でよいのでは?という理由の一つに「高額療養費制度」の存在があります。

まずは知ることから、自分の医療に関する保険のプランを練ったり、変更したり、または解約してもいいかな、など考えてみても良いのではないでしょうか。

・まだ高額な費用が必要な医療を受けたことはない。
・自分がどの程度の負担でいいのかよく知らない。
・とりあえずよくわからずに、民間の医療保険に入ってしまった。

そんなあなたにも、ぜひ知っておいてほしい公的制度です。

それでは、制度の概要から知っていきましょう。

 

目次

高額療養費制度

 

高額療養費制度 概要

医療機関や薬局で支払う自己負担額が、1か月単位で一定の金額を超えた場合に、その公的医療保険を超えた金額を支給する制度。

「1か月単位で」というのがポイントになります。月をまたいでしまうと大抵は負担額が増える計算になりますので注意しましょう。

 

平成24年4月以降は、事前申請することで、医療機関での支払金額を自己負担限度額までに抑えられるようになりました。以前は、いったん3割負担分を支払い、その後に払い戻しの形方法しかありませんでした。
(令和3年3月より、オンライン資格確認制度がスタート。この制度の場合は、事前申請が必要なくなります。制度概要は後ほど説明します。)

 

 

<出典:価格.com 保険>

上の図のように、総医療費が80万円で3割負担の場合、窓口負担額は24万円となります。

しかし、年齢や所得などの条件で変わりますが、自己負担額限度額が8万5430円の場合、事前申請していれば超過分の154570は最初から支払する必要はないですし、事前申請していない場合でも払い戻しがされます。

 

 

高額療養費制度 自己負担限度額

高額療養費の限度額は、年齢や収入によって変わってきます。

大きくは69歳以下と70歳以上で分かれます。

自分がどの区分に該当するか確認しておき、万が一の場合にはこれ位かかるんだな、ということを把握しておくことをおススメします。

 

<69歳以下の方の限度額>

所得区分 自己負担限度額
健保:標準報酬月額 83万円以上   国保:賦課基準額 901万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%       {多数回該当:144,000円}
健保:標準報酬月額 53万~79万円  国保:賦課基準額 600万円~901万円超 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%       {多数回該当:93,000円}
健保:標準報酬月額 28万~50万円 国保:賦課基準額 210万円~600万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%       {多数回該当:44,400円}
健保:標準報酬月額 26万円以下    国保:賦課基準額 210万円以下 57,600円                                                                {多数回該当:44,000円}
住民税の非課税者等 35,400円                                                                {多数回該当:24,600円}

多数回該当:直近12ヶ月の間に3回以上高額療養費の対象となった場合、4回以降はさらに安い<多数回該当の限度額>となる。

 

<70歳以上の方の限度額>(平成30年8月~)

被保険者の所得区分 自己負担限度額
外来                  (個人ごと) 外来・入院                            (世帯)
①現役並所得者 現役並Ⅲ                                (標準報酬月額83万以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方) 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%   {多数回該当:144,000円}
現役並Ⅱ                                (標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方) 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%   {多数回該当:93,000円}
現役並Ⅰ                                (標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方) 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%   {多数回該当:44,400円}
②一般所得者 18,000円                  (年間上限14.4万円) 57,600円                                     {多数該当:44,400円}
③低所得者  住民税非課税世帯Ⅱ 8,000円 24,600円
 住民税非課税世帯Ⅰ           (年金年収80万円以下等) 15,000円

多数回該当:直近12ヶ月の間に3回以上高額療養費の対象となった場合、4回以降はさらに安い<多数回該当の限度額>となる。

 

高額療養費制度 事前申請

事前申請は加入先の保険者に申請。
認定されると「限度額認定証」が交付されます。

医療機関で「限度額認定証」を提示することで、自己負担限度額までの支払いとなります。

患者さんは一時的な高額支払いを回避することができ、医療機関も高額な未収金を発生させる機会を減らすことができます。

 

オンライン資格確認と限度額認定証等の連携

<オンライン資格確認>
マイナンバーカードのICチップまたは、健康保険証の記号番号などにより、オンラインで資格の確認ができるようになります。
医療機関が本制度を導入していることが前提となります。

令和3年3月よりスタートする制度です。

本制度を導入している医療機関においては加入者(患者)から保険者への申請がなくても、限度額情報を取得できるので、患者さんは限度額の医療費を支払えば済みます。
(言い換えると、限度額以上の医療費を支払う必要がない。ということです。)

出典:オンライン資格確認導入の手引き  厚労省

 

まとめ

・高額療養費制度により、限度額以上支払う必要はない。(1か月単位で、という点には注意。)

・限度額は個人ごとに年齢、条件により異なる。

・基本、保険者へ事前申請することで、限度額以上を支払う必要がない。

・オンライン資格確認導入医療機関においては、事前申請の必要なく、限度額情報を取得でき、患者さんの利便性が向上する。

本制度を知っておくことで、民間の医療保険を考える際に、「さらにどこまで必要か?」を考える指針になりますので、ぜひ把握しておきましょう。

また高額な医療費がかかる際も慌てず、「高額療養費制度」を活用し、安心して治療を受けましょう!